アレッシオ氏は次のように語ります。「この作品では100首の短歌を一曲の中で表現することで、大規模な歌の集積を一つの作品として存在させることを試みました。とはいえ同じ音楽構成の中で100首を結合させるという試みは、百人一首自体がその可能性を秘めていたからこそできたことでした」。 曲は5-7-5-7-7という短歌の簡潔な韻律を意識して作られ、その特徴的な韻律が音響にも影響を与えています。 アレッシオ氏は百人一首の魅力について「百人一首は失われた時間への複雑な思いを、隠喩的かつ皮肉的に表現している類まれな様式です。変革の時代に編纂された百人一首は人間の無限の特性を映し出す鏡のようにも見えます 」と話し、百人一首の中に見られるこうした人間の無数の特性や変化は、現在私たちが直面している「新しい生活様式」への移行にも重なる部分があると語ります。「『新しい生活様式』が日々の私たちの生活を取り巻く中、『形式』は人々の理想(的な生活)に不可欠な存在として、また社会とは対照的な独立したシンボルとして存在します。私たちの歴史認識の方向性が変わることによって、文化的な遺産のアイデンティティーが再構成され、それによって過去が持つ意味も新たな領域で再構成されるのです」。
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