イソップ 福岡

伝統的な武家屋敷になぞらえて設計された店舗には、庭と屋敷に見立てた空間があり、通りからは巨大な錆鉄の門を通って庭に入ります。奥へと通路を進むと、「内」を表わす空間が広がり、温もりのある白い壁と天井が現れます。それらは柔らかな布で覆われており、硬質な「外」とは対照的で、侍が身につけていた武具と家着の対称性を表現しながら、見事に調和させています。  店内中央には製品が並ぶ黒い埋め込み棚があり、まるでアンバーボトルの武士たちが出陣を待っているかのようです。そのような規律正しさに切り込むように、鍛え上げられた刀を思わせる光沢のある銀色の塊が横たわり、参詣前に手を清める手水（ちょうず）を模したシンクが設けられています。素材は、武士道精神の核を反映しており、くすんだ暗い色調の門は質実剛健さを、明るい柔らかな布張りの壁は潔白を表現しています。

庭に見立てた空間には小さな茶室があり、店舗全体のデザインを凝縮した小宇宙になっています。店舗正面と同じ錆鉄で覆われた壁の内側には、温もりのある心地よい檜の小部屋が隠されています。中はフレグランスライブラリーとなっており、イソップの独創的な香りをじっくりお試しいただけます。